これまでの日本企業は、たとえばIT分野においては単金の安い海外企業に発注するオフショア開発を行うなど、コストメリットを享受してきました。

しかし、中国をはじめとするアジア圏での賃金は上昇する一方。また、海外留学生を採用した場合も、入社後に高賃金を求め外資へ転職したり、企業風土との不一致で早期退職してしまうケースが多々存在します。

更に自ら海外展開を行う場合でも、日本ブランドの相対的な低下もあり、優秀社員の採用に苦慮する企業も増えています。

アジア諸国が高度経済成長から安定成長へシフトする中、日本企業にとってこれまでの海外人材活用方法は、もはや通用しない状況になっています。

但し、今のところアジア諸国の学生にとって、日本は魅力ある留学先として認識されており、たとえばベトナムからの留学生は年々増加しています。

ベトナムでは、一部の小学校で日本語が第一外国語として採用されるなど、まだまだ日本人気が継続しているのです。背景として、日本語習得を通じ現地日系企業への就職を優位にしようとする人が多いことが挙げられます。

従って、彼らの留学段階から積極的に関与し、自社への理解と共感を誘い、更にその優秀層を取り込んでコミットメントを深めることができれば、効果的な現地法人マネジメントも可能です。

その場合のメリットとして、
①自社の事業課題と現地マーケット環境をリンクさせた経営が可能になる
②現地マインドを理解したマネジメントが可能になる
③地場企業との取引を優位に展開できる　　などが挙げられます。

但し、一番重要なファクターは「どのような人材を重用するか」。アジア諸国では、国の指導層・富裕層の子息が国費留学などで来日するケースが多く、その人脈は帰国後も大きな強みとなります。